轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
在线阅读小金井 喜美子《鴎外の思い出(おうがいのおもいで)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 127,675 字 · 254 页
遠くで梟が鳴いています。いずれ本屋でしょうが、どんな御本がお気に入ったのかと思いました。御手には杖ばかりのようでした。
その後団子坂へ伺った時、聞いて見ました。「この間はどんな本をお求めになりましたの。二晩もつづけてお出になるのは、よほどお気に入ったからでしょうと思いました。」
「いや、あれは神田の方で買った古本に落丁があってね。ちょうどその本があそこにあったから、買って来てそこだけ取って補充したのさ。二部は不用だし、向うは商売だから、また相手もあろうと思って、持って行ってやった帰りだった。多分その話はせずに、また誰かに売るのだろう。こっちは話したのだから疚しくはないがね。」
「そんなお客さんは滅多にありますまい。何の御本でしたの。」
伺いましたが、「なに」としか仰しゃいませんでした、きっと私などには縁の遠い御本でしたでしょう。
落丁というので思い出されたのか、その時次のようなお話をなさいました。
昔下宿をしていられた頃、同じ宿にいた学生さんがひどく本好きで、いつも貸本屋から次々と借りて見るのです。『八犬伝』とか『巡島記』とか、馬琴の大部のものが多いのですが、それには大抵一冊に二、三個所ずつ絵があるのを、必ず一個所は上手に切り取るので、その頃そんな本の表紙は、浅草紙のようで厚いのに色紙が張ってあるのですから