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がちょう

鵞鳥

幸田 露伴

「日本評論」1929(昭和14)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,335 字 · 23 页

青空文庫

は常に中村の原型によってこれを鋳ることをする芸術上の兄弟分のような関係から、自然と離れ難き仲になっていた故もあったろう。若崎の細君はいそいそとして帰った。

○

顔も大きいが身体も大きくゆったりとしている上に、職人上りとは誰にも見せぬふさふさとした頤鬚上髭頬髯を無遠慮に生やしているので、なかなか立派に見える中村が、客座にどっしりと構えて鷹揚にまださほどは居ぬ蚊を吾家から提げた大きな雅な団扇で緩く払いながら、逼らぬ気味合で眼のまわりに皺を湛えつつも、何か話すところは実に堂々として、どうしても兄分である。そしてまたこの家の主人に対して先輩たる情愛と貫禄とをもって臨んでいる綽々として余裕ある態度は、いかにもここの細君をしてその来訪を需めさせただけのことは有る。これに対座している主人は痩形小づくりというほどでも無いが対手が対手だけに、まだ幅が足らぬように見える。しかしよしや大智深智でないまでも、相応に鋭い智慧才覚が、恐ろしい負けぬ気を後盾にしてまめに働き、どこかにコッツリとした、人には決して圧潰されぬもののあることを思わせる。

客は無雑作に、

「奥さん。