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マージャンさつじんじけん
麻雀殺人事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页
警部の指摘した証拠は、たしかに星尾に濃厚な嫌疑をかけてよいものだった。
そこで一同の前に星尾が引っぱり出されることになった。脱脂綿と毒物の出所について自白を迫ったのであったが、彼は中々思うように喋らなかった。しかし警部が、物馴れた調子で彼に不利益な急所をジワジワと突いてゆくと、流石にたまりかねたものと見えて、彼はとうとう口を開いた。それは検事たちの思いも設けぬ種類のことがらだった。
「実は、あの綿は、麻雀を打っているときに、みどりさんの袂から盗みだしたのです。毒物については存じません」
赤くなったり青くなったりして星尾の物語るところは、満更嘘であるとは思えなかった。彼はその変態性欲について大いに慚愧にたえぬと述べて、汗をふいた。
それで彼の嫌疑は晴れたわけではなかったが、兎に角、みどりに綿と毒物の事を訊問してみることにした。彼女は、すこし取乱している態で、昨夜彼女を連れて来た刑事に助けられつつその席についた。取調べによって彼女はこんな風に弁明した。
「わたしは昨日から……」とすこし言い淀んでいたが、「実は月経になっていたのです。だから脱脂綿をもっているのに不思議はない筈ではありませんか。