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マージャンさつじんじけん
麻雀殺人事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页
「いま星尾さん、いらしっているのよ。そんなこと聞えたら、あたし、困っちゃうワ」
「困るこたァ無いじゃないか、豊っぺさん」と帆村はますます上機嫌に饒舌った。「こんなことは、聞えた方が目的は早く叶うよ。それとも僕、本当にシンチャンに言ってやろうか。豊ちゃんが実は昔風のなんとか煩いをしていますが、先生の御意見はいかがでしょうッてね。だけど僕のことをセンセといいませんて誓ってくれなきゃ、僕やってやらんぜ」
「そんなんないわ」
「豊ちゃん、記録ーゥ」と叫ぶものがある。
「ハーイ、唯今」とそれには答え、それから帆村の方に向き、低い声で言った。
「あのシンチャンのお仲間、今日もお昼からきて特別室でやってなさるのよ。帆村さんも、あっちへいらっしゃらない」
特別室というのは広間の隣りにある長細い別室で、ここには割合にゆっくり麻雀卓子が四台並べてあり、椅子にしても牌にしてもかなり上等のものを選んであり、卓子布子に、白絹をつかっているという贅沢さだった。帆村が入ってみると、どの台にも客がいた。一番窓際の卓子に、豊ちゃんの云った「例のお仲間」の四人が、一つの卓子を囲んで、競技に夢中になっていた。