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マージャンさつじんじけん
麻雀殺人事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页
帆村は側らの長椅子に身を凭せて、しばらく席が明くのを待っていなければならなかった。彼は見るともなしに、「例のお仲間」の方に顔を向けていた。
「こんなに蒸し蒸しするのも太陽の黒点のせいだよ」と一番、入口のカーテンに近いところに背を向けて腰を下ろしている理科大学の星尾助教授が言って、麻雀の牌をガチャガチャと、かきまわした。
「太陽の黒点なんか蹴っとばせ、てえんだ。――やあ、いいものを引っぱってきた」と機嫌のよいのは、仲間の一人で、星尾助教授の対門にいる慶応ボーイで水泳選手をやっている松山虎夫だった。
「今日は、ちっともいいのが来ないわ」と松山の左手に坐っていた川丘みどりが、真紅に濡れているような唇をギュッと曲げて慨いた。そして象牙のように真白で艶々しい二の腕をのばして牌を一つ捨てた。
「それで和がりだ」と叫んで、自分の手を開けてみせたのは、「豆シャン」と綽名のある美少年園部壽一だった。少年といっても彼は大学の建築科二年だから、仲間の男の中では一番若かったが、川丘みどりは十九だったからこれよりは兄さんだった。
「園部さん、窓をあけてよ、暑いわ」みどりが「お狐さん」