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たそがれのこくはく
黄昏の告白
浜尾 四郎
「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页
曲者が蓉子の上にのりかかって同人を絞め殺すと同時に大川氏が救いにかけつけこの態を見るより一発を賊の右側から撃ち、ひるむところを更に一発その頭部に命中せしめたのであった。しかしながら実に一瞬の差で蓉子の生命を救うことができなかったので、大川氏は悲痛のあまり、大声をあげながら外にとび出したのであった。
なお取調の結果、兇漢大米虎市の持っていた出刃庖丁は二日前、府下××町××番地金物商大野利吉方で兇漢自身が求めたもので同金物店の雇人某は、大米の顔を比較的よく覚えていたためまったく同人の買ったものなることが明かとなった。大川氏はこの悲劇のため一時まったく昏倒したくらいで、ほとんど気抜けの態であるが、係員の質問に対しては割合明かに答えている。大川氏は一応××署の取調を受けたが正当防衛として不問に付することとなるらしい。兇漢の所持品としては出刃庖丁の他金三円二十三銭の現金、懐中電燈、ろうそく、覆面用の黒布等であった。右について司法某大官は語る。「自分は今度の大川竜太郎氏の強盗殺人事件について詳しいことをきいておらぬから何ともはっきり申せないが、きくところのごとくんば大川氏の行為は正当防衛でありかつ正当防衛の程度を超えざるものと思われるから問題にはなるまい。