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たそがれのこくはく

黄昏の告白

浜尾 四郎

「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页

青空文庫

その上仕事はだんだんできなくなって来る。ところで米倉はますます成功して行く。蓉子はしばしば僕と結婚したことを後悔しはじめたような様子さえ、見せはじめた。

ところが、山本、僕はこの上更にみじめな目にあわなければならなかったのだ。僕が今まで云ったことはただ心の問題ばかりだった。人によっては呑気にくらして行かれることだったのかもしれない。ところがどうだ。僕は結婚後一年程たってから蓉子に不思議な挙動のあるのを見出したんだ。」

「何? なんだって?」

「妻としてあるまじき振舞だ。けしからん挙動だ。」

「と云うと?」

「君にはまだ判らないのか。妻としてあるべからざる振舞だよ。……つまり、僕は蓉子を身体の方面でも完全に独占してはいないということを見出したんだ。」

「…………」

「君はまさかと思うだろう。驚いたろう。しかし事実なんだからね。蓉子はしばしば僕の留守に自分も出かけるようになりはじめた。たとえば、君に身体を診てもらうというようなことを云っては出かける。そうして君にあとできいてみると、またはその時君の家へ電話でもかけると、それは嘘だったということがすぐわかったんだ。