轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たそがれ
黄昏
宮本 百合子
「婦人画報」1922(大正11)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,500 字 · 29 页
おくめは、その想像に堪えないように深い溜息をついて寝返りを打った。けれども――そんなことが果してあり得ることだろうか……彼女の頭には、追々実際的な反省が浮んで来た。「よしあったとしても、一旦、家のためとはいいながら、末の見込みがないと思って棄てた良人を、未練らしくよせつけることなどが、娘等の手前、世間の手前、出来ると思うことだろうか……」
次第に亢奮が鎮り、一時燃え立った歓ばしい空想が色褪ると、おくめの心の裡には、老齢らしい種々の疑惑が頭を擡(もた)げて来た。
第一、いくら年を取ったからといって、あの家を構わなかった男が、急にそう生み放した娘の身などを思うとは受取れない。
「東京に出て来たというのも、のぶ子に手紙をよこしたというのも、つまりは、あれを食いものにする積りなのではなかろうか」
どこかで、のぶ子が来年にでもなれば一本立ちの出来るのをきき知り、今から手馴ずけて、いざという時、僅かの金でも出させようとする魂胆は、おくめにとっては決して、あり得べからざることとは思えなかった。思いがけないことを聞いたあまり、年甲斐もなくよい方へ、よい方へとばかり想像を走らせていた自分が、やがては嗤(わら)うべきもののようにさえ感じられて来た。