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くろいあたま

黒い頭

海若 藍平

「九州日報」1922(大正11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,850 字 · 4 页

青空文庫

花子さんは思わず飛起きて、飛び付きました。

「あら、姉様、堪忍して頂戴。妾が悪いのですから」

と泣き声を出してあやまりましたが、姉さんは中々眼をあけません。奇麗な袖で顔を押えて、シクシク泣いているばかりです。花子さんはどうしようかと思いました。

ところへどこからか、

「それは花子さんが悪いのではない。私が悪いのです」

と云うしわがれた声が聞えました。驚いて姉さんと花子さんとが顔を挙げてそちらを見ますと、それは恐ろしい、真黒い、骸骨のような木乃伊でした。

木乃伊は赤と青の美しい着物を引きずって、恐ろしさにふるえている姉さんと花子さんの傍へしずしずと近寄りながら、白い歯を出してニッコリ笑いました。

「御心配なさいますな。私が姉さんの頬の凹んだ処はきっと直して上げます」

と云ううちに二人を抱き上げて、赤と青の着物をパッと広げると、そのまま大空はるかに舞い上りました。

二人は夢のようになって抱かれて行きますと、木乃伊の青と赤の着物は雲の中をひるがえりひるがえり、お太陽様も星も月もはるか足の下にして飛んで行きます。やがて下の方に三角の塔や椰子の樹や大きな川や繁華な都が見えて来ました。