轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くろいわるいこうのこと

黒岩涙香のこと

平林 初之輔

「探偵趣味 第二年第一〇号」1926(大正15)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,554 字 · 6 页

青空文庫

というのであった。それから二度目は、今から十年ほど前のことで『有罪無罪』をきっかけに、一二ヶ月の間に、手に入る限りの彼の作品は全部読んだ。すっかり病みつきになって、貸本屋に彼の本がなくなると、古本屋や夜店をあさりあるいて探したものだ。それでも彼の本がなくなると、もう宇宙間に読む本がなくなったような淋しさをおぼえたものである。とりわけ今になっても面白かったと思うものは、鉄仮面、死美人、非小説、噫無情等である。

涙香が死んでからしばらくしてから、珍本を漁ることに熱心な木村毅君が、涙香の翻訳に用いた探偵小説の原著を発見して二三十冊も買いこんだことがあった。多くシーショア・ライブラリーという十銭本だった。私もそのうちの数冊を、わけてもらって読んだことがある。中にいろいろ鉛筆で書き入れがしてあるのがとりわけ興味をひいた。この書物は今でも私の知人の間にばらばらに幾分のこっているはずである。

木村毅君で思い出すのは、同じく私のクラスメイトで、町田歌三君が、涙香の書物を出版していた扶桑堂の主人で、同君は、自分で縮刷本の表紙の図案なども書いていたのだった。その町田君も昨年逝くなった。