轻松读懂日语经典作品
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くろてぐみ
黒手組
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1925(大正14)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,978 字 · 36 页
そこへ、家内もたって止めるものですから、可愛い娘には替えられぬと観念して、残念だが一万円出すことにしました。
脅迫状の指定は今も云う通り、十五日の午後十一時、T原の一本松までということで、わしは少し早目に用意をして、百円札で一万円白紙に包んだのを懐中し、脅迫状には必ず一人で来る様にとありましたが、家内が馬鹿に心配して勧めますし、それに書生の一人位連れて行ったって、まさか賊の邪魔にもなるまいと思ったので、若しもの場合の護衛役としてこの牧田をつれて、あの淋しい場所へ出掛けました。笑って下さい。わしはこの年になって始めてピストルというものを買いましたよ。そしてそれを牧田に持たせて置いたのです」
伯父はそういって苦笑いをしました。私は当夜の物々しい光景を想像して思わずふき出しそうになったのを、やっとこらえました。この大男の伯父が、世にもみすぼらしい小男の而も幾分愚鈍な牧田を従えて、暗夜の中をおずおずと現場へ進んで行った珍妙な様子が目に見えるようです。
「あのT原の四五町手前で自動車を降りると、わしは懐中電燈で道を照しながらやっと一本松の下までたどりつきました。