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くろねことみ
黒猫十三
大倉 燁子
「キング 一二巻一号」1936(昭和11)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,366 字 · 29 页
そうして介抱してやることが、また発見者たる者の義務ででもあるように思われる。
彼は少女を前にして考えた。運転手に知れないように運び出すとしたら、どういう方法を執ったものだろうか、下手をやって感付かれたら事だぞ、きっと警察へ訴えようと云い出すに定っている、警察に。――冗談じゃない、そんな馬鹿な事が出来るものか。やッと逃げて来たばかりじゃないか。――
しかし、全然気付かれないという方法はあるまい。人間一人を担ぎ出すのに、いかに小さな女だって、容易な事ではない。と彼は頻りにそれについて頭を悩ませていた。
車が花柳界の近くを通っている時、見番の灯を見て、ふとある名案を思いついた、そこで小山アパートまで乗り着けずに、途中で車を停めさせて、
「あすこの見番で、――これを崩して来てくれ」
と云って、運転手に五円札を渡し、
「生憎、細かいのがなくって。――」と故意と独言のように附加えて云った。
運転手が札を手にして、雨の中を馳け出して行くのを見定めてから、本庄は死んだ蛇のようにぐったりとなっている少女を抱き上げた。小柄だが持ち重りがして、小脇に抱えているのはなかなか骨が折れる。