轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
シーせんせいへのてがみ
C先生への手紙
宮本 百合子
「年刊多喜二・百合子研究 第2集」多喜二・百合子研究会編、河出書房、1955(昭和30)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,519 字 · 60 页
先生、先生は、月夜に立ちのぼる水の、不思議に蠱惑的な薫りを御存じでございますか、扁平な櫂に当って転げる水玉の、水晶を打つ繊細な妙音を御存じでございますか。――
けれども、自然は決して単調な議事ではございません。時には息もつまるような大暴風雨で、小さい人間共の魂を、いやと云う程打ちのめす事もあるのでございます。
(其二)
C先生。
東西を連山で囲まれた湖畔は、非常に天候が不定でございます。今のように朗らかに晴れ渡った空も、決して夜の快晴の予言ではございません。山並の彼方から、憤りのようにムラムラと湧いた雲が、性急な馳足で鈍重な湖面を圧包むと、もう私共は真個に暗紅の火花を散らす稲妻を眺めながら、逆落しの大雨を痛い程体中に浴びなければなりません。其の驟雨は、いつも彼方にのっしりと居坐ったプロスペクト山が、霞むような霧に姿を消す事を第一の先駆として居るのでございます。
此のプロスペクト山は、近傍で一番高い山であるのみならず、五十年程前に、何処かの金持が麓から電車を通して、頂上に壮大な遊楽場を設けたので有名になって居ります。元はきっと、如何那にか熾な場所だったのでございましょう。