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シーせんせいへのてがみ
C先生への手紙
宮本 百合子
「年刊多喜二・百合子研究 第2集」多喜二・百合子研究会編、河出書房、1955(昭和30)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,519 字 · 60 页
女の人の寄宿舎などは、まるで、今海から上げた大漁の網そのままの活々しさでございます。踊るもの、かけるもの、キーキー云ってふざけるもの、声高に座談をなげ合うもの、命が躍って、躍って、止途もないというようなのが女の人、ことに若い人の通用性でございます。絶えず興奮して居ります。
静かにしんみりと話すことは少くても、笑うか、喋るか、歌うか、動くか致します。
其は勿論活動的であり、積極的であるからでもございましょう。がその一つの原因は、絶間ない刺戟に彼女等の神経が追い立てられて居るのでございます。
うなりを立てて廻転する大都会の車輪の一端に、辛くも止まって居る微細な神経は、過度な刺激で或程度にすりへらされて居ります。
そのすりへらされた神経に与える変化は、どうしても濃厚なものでなければなりません。生活に疲れた頭は決して、低声の雑談ではいやされません。
目のさめるような事がなければ息がつけません。
従って彼女等は、濃い色と、強い音調と香気と、強い興奮で、轟々と鳴りとどろく、大都会の騒音に辛くも反抗するのでございます。
其故同じアメリカでも、場所によっては、決して騒がしい女性許りではございません。