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ジェイ・ディ・カーのみっしつはんざいのけんきゅう
J・D・カーの密室犯罪の研究
井上 良夫
「月刊探偵」黒白書房、1936(昭和11)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,355 字 · 11 页
それで以下、適宜抄訳意訳に簡単な註釈も加え御紹介しておきたい。
まずフエル博士は、作者カーに代って次のように語り出す。
「一部の人々は、自分達が怪奇的色彩を帯びた作品を好まないものだから、そうした自己の好みを以ってすべてを律しようとし、気に入らぬ作品はきまって、こんな話は実際にありそうにもない、といって非難する。ひいては、この人々は他の人々にも、実際にはありそうにもない、ということはつまり感心出来ない探偵小説を意味するのだと、考えさせるようにしてしまう。けれども、探偵小説を貶すのに、ありそうにない、尤もらしくないなどという言葉を使うのは、とりわけ当を得ていないのではあるまいか。私達が探偵小説を愛好するのは、外でもない、その『尤もらしくないこと』が好きだからなのだ」
作者はまずこのように探偵小説の興味の根本に簡単に触れておいてから、尤もらしくない、こじつけの王座にあるところの密室内の犯罪を取上げる。
「秘密の通路に類するアンフェアな解決法は一切廃して、密室犯罪の解決法を分類して行くと、大体次のようになってくる」と断って以下がその分類。
(一)、密室内に行われたことが、実は殺人でなく、偶然に起ったことが重なり、恰度殺人が行われたように見えるもの。