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“しきけんはつどう”をかかざるのき

“指揮権発動”を書かざるの記

犬養 健

「文藝春秋」文藝春秋新社、1960(昭和35)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,319 字 · 19 页

青空文庫

その時私はユダヤ教以来の永い伝統を引いているキリスト教の罪に対する過度の厳しさが不満で、むしろ仏教の広大無差別な慈悲の方に共感を抱いていた。しかしこれはやはり私の誤りであって、仏教仏教と一概に言うが、私自身の体験を振り返ってみても、たとえば臨済禅のような場合は、水汲み、拭き掃除、便所の清掃と実に容赦のない重労働ばかりを課して若い修道者の驕慢心を調伏させるのである。そればかりではない。由来臨済の道場には同じ禅宗でありながら、とかく宗教上の議論を好んで行なう曹洞宗の口頭禅の傾向に対する容赦のない批判が満ち満ちていた。アイクの母堂にもこれと同じような厳格さが常にあって、それがアイクを老齢の今日まで浄化させ、円熟させて来たものであろう。

ともかくもこんなふうで、私が病院の退屈な日々を送っている間に、一歩外へ出れば浮世の風に吹きまくられて噂が噂を生み、それが雪達磨のようにますます大きくなっていたのである。私はそれをあんがいぼんやりして如実に感じないでいた。

これは退院してから聞いた話だが、目下ラジオ、テレビの寵児になっている元新聞界の某大家が、「一度犬養の真意をよく聞いてみる」