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まるまるじゅう
○○獣
海野 十三
「ラヂオ子供のテキスト」日本放送出版協会、1937(昭和12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,139 字 · 43 页
「水久保君。分らないというだけでは、帝都三百万の市民にたいして、申訳にならないぞ。分らないにしても、もっと何か方法がありそうなものじゃないか。こんな風にしてみれば或いは分るかもしれない、といった何か思いつきはないかネ」
「そうでございますネ」と水久保係長はしきりに頭をひねっていたが、急に思いついたという風に手をうって「そうだ。これは一つQ大学の変り者博士といわれている蟹寺先生に鑑定をねがってみてはどうでしょう」
「おお、蟹寺博士か。なるほど、そいつはいい思いつきだ。先生は非常な物識りだから、きっとこの不思議をといて下さるだろう。ではすぐ博士に電話をかけて、おいでを願おう」
山ノ内総監も、急に元気づいて、水久保係長の言葉に賛成したのだった。
それから一時間ほどして、いよいよ博士が東京ビルの崩れおちた前にあらわれた。博士は強い近眼鏡をかけて、鼻の下から頤へかけてモジャモジャ髯を生やしていた。
「なるほど話に聞いたよりひどい光景じゃ」と博士は目をみはりながら、崩れたビルの土塊を手にとりあげたりしていたが「これはなかなか強い道具で壊したと見える」
「先生、強い道具でとおっしゃっても、それを見ていた人間の話によると、道具はおろか、現場には犬一匹いなかったそうです」