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まるまるじゅう

○○獣

海野 十三

「ラヂオ子供のテキスト」日本放送出版協会、1937(昭和12)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,139 字 · 43 页

青空文庫

その大火光は、ときどき息をしていた。ビビビーン、ビビビーンと窓硝子の音が息をするのと同じ度数で、その大火光もパパーッ、パパーッと息をした。だから敬二は、窓硝子の怪音と東京ビルの横腹を照らす火光とが同じ力の元からでていることを知った。さあ、こうなるとその火光がどうして見えるんだか、早く知りたくなった。

敬二は、寝衣を着がえて、早速あの東京ビルの横にとんでいってみようかと思った。でも、すぐそうするには及ばなかった。というのは、その怪しき大火光の元が分るような、不思議な怪物が、敬二の視界のなかにお目見得したからである。それは丁度、東京ビルの横に、板囲いをされた広い空地の中であった。そこには黄色くなった雑草が生えしげっていて、いつもはスポンジ・ボールの野球をやるのに、近所の小供や大供が使っているところだった。その平坦な草原の中央とおぼしきところの土が、どういうわけか分らないが、敬二の見ている前で、いきなりムクムクと下から持ちあがって来たから、さあ大変! 東京ビルの横腹を染めていた大火光は、その盛りあがった土塊のなかから、照空灯のようにパッとさし出ているのであった。