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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
だがこの日はいつもより悲しかった、全校生徒の歎願があったにかかわらず久保井校長の転任をひるがえすことができなかった。
今日は校長がいよいよ浦和を去る日である。
大急ぎで朝飯をすましかれはすぐ柳の家をたずねた、柳もまた小原をたずねようと家をでかけたところであった。
「いよいよだめだね」と柳はいった、平素温和なかれに似ずこの日はさっと顔を染めて一抹悲憤の気が顔にあふれていた。
「しかたがないよ」と小原はいった。ふたりは朝日の光が縦に流れる町を東に向かって歩いた。
「ところでね君」と小原はしばらくあっていった。
「今日の見送りだがね、もし生徒が軽々しくさわぎだすようなことがあると、校長先生がぼくらを扇動したと疑られるから、この点だけはどうしてもつつしまなきゃならんよ」
「ぼくもそう思ったからきみに相談しようと思ってでかけたんだ」
「そうか、そうか」と小原はおとならしくうなずいて、「一番猛烈なのは三年だからね、ぼくは昨夜もおそくまで歩きまわって説法したよ、二年は君にたのむよ、いいか、どうしてもわかれなきゃならないものならぼくらは静粛に校長を見送ろうじゃないか」
「ぼくもそう思うよ」