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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

柳は阪井を家まで送ってわが家へ帰ってくると途中で手塚に逢った。

「やあ、いま、きみのところへいこうと思ってきたんだよ」

「そうか」

柳は手塚の行為について少なからぬ悪感をもっていたのできわめて冷淡に答えた。

「生蕃はどうした」

「帰ったよ」

「きゃつ、ぼくのことをおこっていたろう」

「どうだか知らんよ、だがおこっているだろうさ、いままできみと阪井とは一番親しかったんだろう、それをきみがみんなと一緒になってつばをはきかけたんだからね」

「だってあいつは悪徒だからさ」

「きみほど悪徒ではないよ」

柳は思わずこういった。手塚はさっと顔をあからめたがそれは憤慨のためではなかった。かれは柳に肚の中を見みすかされたのがはずかしかったのである。だがこのくらいの侮辱はかれに取っては耳なれている。かれはぬすむように柳の顔を見やって、

「きみ、活動へゆかないか」

「いやだ」

「クララ・キンポールヤングすてきだぜ」

「それはなんだ、西洋のこじきか」

「ははははきみはクラちゃんを知らないのかえ」

「知らないよ」

「話せねえな、一遍見たまえ、ぼくがおごるから」

「活動というものはね、きみのようなやつが見て喜ぶものだよ」