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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

そうして突然チビ公の前に立ちふさがった。

「青木! おい、堪忍してくれ、なあおいおれは悪かった、おれは今日から三害を除くんだ」

七

お宮のいちょうが黄色になればあぜにはすすき、水引き、たでの花、露草などが薄日をたよりにさきみだれて、その下をゆくちょろちょろ水の音に秋が深くなりゆく。

役場の火事については町の人はなにもいわなくなった、阪井猛太は助役をやめてせがれの巌と共に川越の方へうつった、中学校には新しい校長がきた。浦和の町は太平である。

チビ公はやはり一日も休まずに豆腐を売りまわった、それでも一家のまずしさは以前とかわりがなかった、かれは毎日らっぱをふいて町々を歩いているうちにいくどとなく昔の小学校友達にあうのである、中には光一のようにやさしい言葉をかけてくれるものもあるが、多くは顔をそむけて通るのである。チビ公としても先方の体面をはばかってそしらぬ顔をせねばならぬこともあった、とくにかれの心を悲しませるものは小学校時代にいつも先生にしかられていた不成績の子が、りっぱな中学生の服装で雑嚢を肩にかけ徽章のついた帽子を輝かして行くのを見たときである。