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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

「青木じゃないか」

「ああ安場さん」

「うむ、おれだ」

「柳を助けてください」

「よしッ」

安場がひらりと動いた。ふたりの姿がもんどりうって倒れた。いまひとりは光一がしっかりとひざに組みしいていた。

「しばれしばれ」と安場がいった。

「しばるものがない」

「ふんどしでしばれ」

「ぼくはさるまただ」

「心がけの悪いやつだ」

「安場さんのは?」

「おれは無フンだ」

千三はまたしても帯をといて手塚をしばりあげた。投げられたろばといまひとりは安場がしばった。安場は三人を電柱にしばりつけた。

光一の横顔は腫れ、手首はくじかれていた。千三にはなんのけがもない。

「おい青木」と光一は千三の前にひたと座っていった。「おれをなぐってくれ、おれは悪かった、さあおれがきみにしたようにおれの顔のどこでもなぐってくれ」

「なにをいうか柳」と千三は光一にひたとより添うて手をしっかりとにぎった。

「ぼくは今夜きみの演説で真の英雄がわかった、ぼくらはおたがいに英雄じゃないか、正義の英雄だよ」

「ゆるしてくれるか」

「ゆるすもゆるさんもないよ」

「ありがとう」

ふたりはふたたび手をにぎりしめた。

「やい、凡人主義のデモクラシーの偶像破壊者共」