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あきまろにこたう
あきまろに答ふ
正岡 子規
「日本」日本新聞社、1898(明治31)年3月6日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,790 字 · 4 页
この低度の理屈すなわち最も簡単の知とは記臆比較の類のごときものにして、いかなる純粋の文学的感情といえども多少の記臆力比較力を交えざる時は文学として成り立つものには無之候。もし理屈の語を広義の方に用うれば実朝の歌のごときこれを理屈といい得べく候えど、しかし余の標準に従うて判ずればこれは許すべき理屈の部に属し申候。
かく申さば一方にて「すらだにも」のごときを許し他の方にて「も」の一字を蛇蝎視するはいかんとの不審起り可申候。それは左のごとき次第に候。いわでものことながら主観的の歌はたとい感情を述べたるものなりとも客観的の歌に比して知力を多く交えたるは不可争のことに候。そは客観的の歌は受身の官能によること多けれど、主観的の歌はいくばくか抽象して現すの労あるがために候。実朝の獣の歌のごときすでに全体において主観的なるからに「すらだにも」の語さほど理屈ぽく聞えねど全体客観的なる歌にただ一字の「も」の字ある時は極めて理屈ぽく殺風景に聞え申候。「も」の意善く響けば響くほどますます理屈くさく相成候。これは畢竟前後不調和なるがためにや候べき。余の蛇蝎視する「も」の字は客観的歌中に挿まれたる『意味の強き「も」