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あとがき(『みやもとゆりこせんしゅう』だいきゅうかん)
あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)
宮本 百合子
「宮本百合子選集 第九巻」安芸書房、1949(昭和24)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,598 字 · 10 页
同時に、その社会のあらゆる悪計と詭略と恥しらずを身にそなえたフーシエの徒輩も見出される。階級社会の力が面と面とをむけて格闘する革命の現実のうちにこそ、その革命の時代の最も典型的な諸事件と諸性格とがある。小市民的な日常と「個性」のうまやにとじこめられていた人類の伸びようとする精神は、二十世紀はじめのフランスのデガダニストたちのように、遂にわが身一つを破り分裂させることにおいてではなく、発展させられる方向が社会主義のうちにこそあるということがわかった。二十世紀に入ってから世界の文学は、絶えず自身を新しく生れかわらそうとして七転八倒しつづけて来たが、その意味では第一次大戦後におこったシュール・リアリズムさえも、古い資本主義社会の機能のもとで苦しむ小市民の魂の反抗の影絵でしかなかった。社会主義の社会の建設と、その中からうまれる芸術、文学は、よしやはじめはアンデルセンの物語にあるように「みっともない白鳥のひよこ」であるかもしれないけれども、それは遂に白鳥として成長しずにはいられない。はじめから真白くて可愛くて愛嬌のある雛が、家鴨として以外の大人の鳥にはなれないように。