轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あとがき(『みやもとゆりこせんしゅ』うだいにかん)

あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,466 字 · 5 页

青空文庫

わたしは、小樽新聞の小説のことを思い出した。自分の生活や心の内の風浪とかかわりのないルスタムの物語ならかえって書けそうに思えて来た。その気持はだんだんはっきりして来て、やがて、どうしても勇気を出してこの物語は書き終せなければならないと決心するようになった。手に入るだけの材料からノートをつくって、それをもってその夏福井県の田舎の村へ行った。わたしが一緒に暮していたひとの故郷がその村であった。農家にふさわしくない金ぴかの大仏壇が納められていた。七十歳だった老人は白髯をしごきながら炉ばたで三人の息子と気むずかしく家事上の話をして、大きい音をたてて煙管をはたき、せきばらいしながら仏壇の前へ来ると、そこに畳んである肩衣(かたぎぬ)をちょいとはおって、南無、南無、南無と仏壇をおがんだ。兄の嫁にあたるひとは、おはぐろをつけていた。無口なおとなしい人で、いつもはだしで内井戸のある石じきの台所で働いたり、畑で働いたりしていた。

そういう家の屋根裏が物置きになっていた。板じきの真中に四畳たたみが置いてある。わたしは、そこへ小机をおいて、ルスタムの物語を書きはじめた。