轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あなたもわたしも

あなたも私も

久生 十蘭

「毎日新聞」1954(昭和29)年10月29日~1955(昭和30)年3月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,405 字 · 263 页

青空文庫

「離婚訴訟でコナされたせいか、いろいろなことを知っていられるので、難儀します……これは、試験勉強の虎の巻のようなものだが、法的価値がないことはない……実験してみましょう」

芳夫は脇卓のところへ行くと、巻枠を掛け替えて、スイッチをあけた。ドビュッシイの『金魚』のメロディに乗って、由良ふみ子の、(へえ、あなただったの)という甲高い声が流れだしてきた。二人の会話に、外套置場のボーイたちの話やマネジャーの声が重なりあっている。

「この場の会話は、雰囲気で裏打ちしてある。不在証明の反対で、現場証明というやつ……ピアノのメロディや、ボーイたちの話声は、雰囲気をつくるだけでなくて、それ自体、証人なんです。この部分は、修正しようにも、できないから、法律的にも信憑性があるわけでしょう」

ボーイが、電話だといいにきた。芳夫は、レコーダーのスイッチを切って、電話に立って行ったが、間もなく、ブラリとしたようすで戻ってきた。

「坂田でした。すぐ近くで電話をかけているらしい……忙しいから、十分ぐらいにしてくれというので、いいと言ってやりました」

考える顔つきになって、

「坂田は牛車をひくのをやめて、このごろ、毎日、東京へ出てきている。