轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
「毎日新聞」1954(昭和29)年10月29日~1955(昭和30)年3月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 133,405 字 · 263 页
この出会いも自然らしくない。『アラミス』にいることを知って、待伏せをしていたとしか思えなかったが、顔を見ていると、バカらしさが先にたって、まじめな話などはできそうもなかった。
「この春、日比谷の角で会ったきりでしたね。しばらく、ぐらいのことは言ってほしいよ」
「しばらくね」
「毎日、待っていたんですぜ、遊びに来てくれるっていうことだったから……おっと、こんなのんきな話をしていられない。ほら、新聞記者が出てきた……トンマな顔をして突っ立っていないで、早く」
さっきの記者たちが、ドヤドヤと『アラミス』から出てきた。先頭の二世らしいのが、サト子のほうを指さして、
「あれだ、あそこにいる」と叫んだ。
サト子が、あわてて芳夫のとなりに辷りこむと車はいきなり四丁目のほうへ走りだした。新聞社のセダンが、おおあわてにスタートしかけているのが後の窓から見えた。
芳夫は舌打ちをすると、どこかのキャバレの仕着せを着た運転手に声をかけた。
「うるさいな。あいつら、振り放してくれよ」
「よござんす。三宅坂あたりで振り落してやりまさア」
運転手が伝法な口調でこたえた。
四丁目の角を左折して、日比谷の交叉点を突っきると、猛烈な勢いで三宅坂をのぼった。