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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
ました。
それも、技術の上でまだ自信がもてないから、とでもいうのなら、そんなことは心配しなくってよろしい、といって慰めてもあげられようが、実際はそんなことではなく、現在の演劇界、殊に、新劇の諸団体を含めた、すべての新しい演劇の在り方について、一種の不信を抱くようになり、君自身の方向をさえ見失おうとしているという極めて悲観的な心境を訴えられてみると、僕自身にも多少はそのことに責任がありそうに思えて、これはなんとかしなければならぬと、とりあえずペンをとった次第です。
君の言葉を藉りると、現在の新劇は、もはや新劇とは言えない殻のなかに閉じ籠り、外部からの刺戟も素直に受け容れようとせず、まして、自発的に飛躍を試みようとする意欲は薬にしたくもなくなっている、というのですね。
いったい、君は、そういう事実を、君の眼でたしかに見ているのですか?
それとも、むしろ、君が手紙のなかで無意識に漏らしているように、多くの批評家の容赦なき意見を、ことに、新劇関係者相互の論難というようなものを土台にして、もうこれはダメだ、と絶望しかけているのではありませんか?
もし君が、そういう事実を具体的に観て、それを指摘できるとしても、君の観ている範囲はごく限られたものだとは思いませんか?