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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
と言わんばかりに、また例の眼玉で、左右をギョロリとにらみました。この役は、暗がりで声だけを聞かせればよいというほどの役です。
彼は、それっきり自分の役のことなど忘れてしまったように、装置の考案に没頭していました。この装置は、舞台全体にいくつも絞った無地幕を垂らし、それに照明をいろいろにあてて、厚みと重量のある実にみごとな効果を出しました。
この芝居で、小悪魔に面をかぶらせるという作者の指定に従って、ジューヴェは、その工夫もしたという話です。作者のジイドは、稽古にしばしば立ち会い、そばなる僕が日本人だと聞いて、――「この芝居は日本の能にヒントを得たものだが、それが君にわかるかしら? あの仮面を使ったのも、そういうつもりなんだが……」と、言いました。僕は、ジイドに、――「この劇は、能とはまるで違ったものだ」と、思った通りを答えました。仮面は、能の面とは似てもつかぬ、ギニョール風の頭からかぶるグロテスクな面でした。しかし、その話をジューヴェにすると、ジューヴェは、――「われわれは誰も能を観てはいないんだ。読んだだけではわかるまい。だが、コポオには、能を上演する野心があるんだ」