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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
僕はいつでも思うのですが、実際、われわれの日常語は、どうしてこうまで「ムダな言葉」に満たされているのかと不思議なくらいだ。そのつぎは、紋切型です。そして、最後に、なんといっても、余計な敬語乃至敬語に類する自卑の表現が目立ちます。
重大なことは、それがたいてい、無意識に使われていて、どうかすると、それを適度にあしらわなければ世間に通用しないという、妙な不文律ができていることです。その証拠に、もし誰かが、あるひとの言葉遣いのなかに、一種の「卑屈な」調子を指摘しようとすれば、これはまことに容易です。自分でそれと気づかず、また、屡々、なんの必要もなく、ただ言葉の機械的な操作によって、そういう結果が生じているだけです。
あなたは、なるほど、現代日本語に不信を投げつけられたが、どこがどういう風に困るかという、具体的な個所をあまり適切に示されませんでした。対話の語尾がいつでも、おなじ音で終るのはうるさい、とか、母音が多すぎて、ダイナミックな感じが出せないとか、主語と動詞がはなれすぎていて、フレイズとしての印象が鮮明でない、とか、こんな例はいくつか挙げられたようですが、これはいずれも、日本語の宿命的な性格で、それに難癖をつけてもはじまらぬと思うのです。