轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あるかいそうから

ある回想から

宮本 百合子

「日本評論」1946(昭和21)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,899 字 · 14 页

青空文庫

すると、いま、名を思い出せないけれども、ある新聞の学芸部の記者の人が、

「やア、どうです」

近づいてきながら、大きい声でいった。

「感想はいかがです」

わたしは、ゆっくり立ちどまって、挨拶をかえした。

「感想って……。私はこれから、稲子さんのところへ行くんだけれども……」

「へえ」

ひどく案外らしく、

「知らないんですか」

といわれた。

「執筆禁止ですよ」

「誰が?」

「宮本百合子、中野重治それから――」何人かの姓名が告げられた。評論家も何人か入っている。窪川夫妻も、すれすれだろうということであった。私は、かかえた風呂敷包みの中に、ついそこで買ったお正月用の「きんとん」の包をもっていた。半分は、白いうずら豆の「きんとん」ではあったが、たっぷりあって、去年も、その前の年の暮にもしたように、稲子さんの子供たちと半分ずつわけようと、潰さないようにもっているのであった。

「じゃあ、ともかく稲子さんのところへ行ってみましょう」

「それがいいです、じゃ、いずれ――」

わかれて、省線にのり、やはり「きんとん」の包みをかばいながら、高田馬場からなじみふかい小瀧橋への通りを歩きながら、なんともいえず奇妙な落つけない気分がした。