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いとこどうし

いとこ同志

宮本 百合子

「女学生」1920(大正9)年5月創刊号、6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,760 字 · 16 页

青空文庫

けれども人と云うものは、どんな時にでも親切な、自分の辛いと思う事を辛いだろうと云って呉れる人を悦ぶものです。

政子さんは芳子さんの悪口を云う人と仲よしになるのは何だかすまないような心持もしながら、それでも嬉しがらずにはいられませんでした。

先生のお手伝をして、理科の標本室から教室を往復していた芳子さんは、こんな話が、友子さんと政子さんとの間に取換されたのは、ちっとも知りませんでした。

けれども、それを知らないと云う事が、芳子さんの毎日の行いにどんな関係を持つでしょう。芳子さんは、何と云っても芳子さんである筈です。芳子さんは、相変らず、一生懸命に勉強しました。お気の毒な政子さんには、自分の出来る丈の親切をし、お友達のすべてに、よい仲間となれるように――芳子さんは先生が教えて下さる正しい事は、一つ残さず自分が行って見たいと思っているのです。

それ故、先生が、背中を丸くしてお席に就いていてはいけない、体に悪い事です、と仰有れば、直ぐ自分の背中に気をつけました。人の悪口や、欠点計り探す事はいけないと分れば、どんな時にでも、それはしまいと心に願いました。

人間は、花や小鳥や、天と地とがそうであるように、お互に助け合い、其の人々の持っているよい点を尚お磨きながら、楽しく睦じく、そして正しく暮して行くべきだと云う事を