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うつす
うつす
中井 正一
「光画」1932(昭和7)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,121 字 · 7 页
インドのミトスで、描くかわりに巌壁を磨いたことは、描くことの内面にひそむうつすことの本質現象を囚えきたってあまさない。ナルシサスの美しさも水にうつすことによって自覚される。いわばうつすこと、それが水にもせよ、金銀にもせよ、鋼金にもせよ、水晶体にもせよ、レンズにもせよ、うつすことその中に、芸術の始源的原型が内在せりと考えらるべきである。日本語でうつすことがそのまま移動的意味を構成するごとく、それは芸術の移入的等値的射影性を意味すると考えたい。あらゆる意識の働きの原型もが、生命のすべての現象の等値的射影的関連にありとも考えられよう。うつすことの原現象形態がまたそのまま文字、音楽などにもいきわたって、芸術のウルフェノメナに深い関連をもつとも考えられよう。そして今、レンズの場合、光が石英の合成体を通して、正しき屈折律をもって反射し、そこに展べられる正確なる光の現象は、集団的意志、すなわち見る意志の深い具象化とも考えられよう。
このうつすことが単に投影される方向より、投影する方向に転ずることで、うつすことは単なる鏡より飜身して、光画に変ずる。ここにこの二つの方向の転換の意味がモンタージュの意味の本質である。