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おさくのはなし

おさくの話

小川 未明

「教育研究」1929(昭和4)年10月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,508 字 · 9 页

青空文庫

おさくも、ただ、顔を真っ赤にして、おじいさんについて、頭を下げたのであります。

「いや、そういう子なら、わたしは好きですから、せいぜいめんどうをみますよ。帰ったら、この子のお母さんによろしくいってください。」と、やさしそうな奥さまは、いわれました。

話は、こういうようにして、まとまりました。それから、二月あまりもたってからです。

ある日のこと、おさくが、廊下のそうじをしていると、坊ちゃんのほうの室で、電球の破裂したときのような、すさまじい音がしました。

彼女は、なんだろうと驚いて、すぐにいってみました。すると、そこには、十二と九つになる、二人の坊ちゃんがいて、おさくが、あわててはいってきたのを見て、おかしがって笑っていました。

「坊ちゃま、いまのは、なんの音でございますか。」と、たずねた。

「地雷火が、爆烈したんだ。」と、九つになる、坊ちゃんがいいました。

「あの音かい、電燈の球が破れたのさ。」と、十二になる坊ちゃんが、まことしやかに答えました。

彼女は、それらしいようすもなかったけれど、目を円くして、

「まあ、あぶのうございますこと。」といって、あたりを見まわしました。