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おくみさんとそのしゅうい

お久美さんと其の周囲

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页

青空文庫

、第3水準1-91-24)子を喫驚させた口元については気のついた者もないらしかった。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は他家の事だと思って黙って居た。

十二

山田で養子をした事は此の狭い村での一事件で有った。何の話も無くて居た所へ突然お関が重三を連れて、

「今度之が家の後を取る事に成りましたから、何分とも宜敷く。

と云って廻った事は皆の反感を買って、数える様な家並みでどうせ後から知れる様な事々は相談する様な体裁で吹聴仕合って居る者達は、

「余り踏み付けた仕打ちじゃあ有りませんか。

お前達なんかはどうでも好いぞと云う様な風を見せられちゃ、何ぼ私共みたいな土百姓でも虫が黙って居ませんや。

などと云い合って、当分は何処でもその噂で持ち切りの有様だった。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子の家へ来る者共でも、

「山田さんでは妙な事ばっかりなさいますんですね。

今度の御養子の事だって何にも伺って居ませんでしたのにいきなり先日その御養子さんとかを御連れなすって御披露なんですものねえ、御隠居様。

それに賤しい事を申す様ですけれ共、彼あ云う御縁組をなされば何は無くても知り合いを集めて御酒の一杯も御出しなさるべきですのにね。