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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页
「どうせ私」と思って居たお久美さんは、すべてを成り行きのままに委せて仕舞って居たけれ共、※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子に会ったりすると、心の中にたまって居た沢山の愚痴が皆流れ出して、丁寧に掛けられる同情の言葉に又何処か休所の出来た様にも思えたりした。
其の日も※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は裏へ出た次手にお久美さんを訪ねて畑道をゆるゆると歩きながら種々の事を話し合った。
二人共自分達の話すべき事は此ではないと云う事をはっきり意識しながら、何だかその一番の所へ触れるのを互に遠慮して居る様に満たない気持であて途も無い事を喋って居たが、到々お久美さんは思い切った様に、
「ねえお※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)さん、
私もう他所へ出ようかと思って居るのよ、此頃。
と口を切った。
「どうして?
「もう彼の家が厭で厭でたまらないんですもの、
ほんとに居たたまれないわ、私。
「そんななの、
だって、今まで彼那に長い間貴女堪えて来たんじゃあないの。
「だって、この頃は余計そうなのよ。
私もうほんとにいや。
「だっても家を出るって、どうするの。