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おくみさんとそのしゅうい

お久美さんと其の周囲

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页

青空文庫

と思い込んだのが一種の感情の習慣になって、お久美さんと云えば憎めないもの、可愛いものとなって来て居るのが気味の悪い位種々な時にフイフイと現われて来た。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はお久美さんを疑い切れなかった。

はたの者がどんなに散々とこなそうともつまりの時にためらわぬ弁護を加える気持を持って居た。

そして、自分とお久美さんの間には何の隔りもなかった――女に有り勝な物質上の遠慮だとか嫉妬だとか云うものは完く姿をかくして居たのである。

女姉妹のない※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は子供の時からまるで年上では有っても妹に対する様な気持をお久美さんに持って居たので、勿論たまには不快に思う事又は激しい感情に動かされて殆ど普通に有り得ない気持になる事はあったとしても、揺がぬ基礎になって居るその感情は二人の永年の間をあきない丁度米の飯の様な味を出させて居た。

と、※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は、その時もたった一人で思って居るのであった。

十七

其の頃から村中には、重三に対して種々な噂が立ち始めた。