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おくみさんとそのしゅうい

お久美さんと其の周囲

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页

青空文庫

少し珍らしい事になると話しまで聞かせない積りなのかしらん。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はお関の極端な仕打ちに驚くと共に、あんなに柔順に無言で辛さに打ち勝って行けるお久美さんが偉い様に思われた。

もうすぐ帰ろうと※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はしきりに思ったけれ共、お久美さんが行ってから幾分か心のおだやかになったお関は前よりはよほどくつろいだ調子で、ほんとうに話をして居る気になって種々の半年間に起ったこの猫の額程の村の「事件」を話して聞かせた。

けれ共※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はもう浮腰になって仕舞って、どうしても落つけなかった。

来なければよかったと云う悔と、お久美さんに対する一層のいつくしみが混乱した気持になってそれからじきに※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は祖母をせきたてて家へ帰って仕舞った。

二

次の日はどう天気がぐれたものか朝から秋の様にわびしい雨が降って居た。

昨夜はあんなに好い月だったのにやっぱり天気がまだかたまらないと云いながら家の者は陰の多い部屋にこもって、各手に解き物をしたり、涼風が立つ頃になると祖母が功徳だと云って貧しい者に施すための、子供の着物だとか胴着だとか云うものを小切れ