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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页
世話をされて居た。世間知らずで有るべき年の※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は山程積んで目を覚すとから眠るまで読んで居た非常に沢山のお話で、継母の辛さ、又は他人の家へただ世話になって居る小娘の心づかいをよく察しられる様になって居たので、自分の家のない事父母の死んだ事は甚く同情すべき事に感じられた。
友達のむずかしい※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子が此んな人を此上ない者に仕て居様等とは誰も思って居なかった。
一時はお久美さんの事を話して、
「まあ貴女がそんな方と仲よしになって居らっしゃるの、
ほんとに思い掛けなかったわ。
「ええそりゃあほんとうよ。
と、友達共が阿呆な目をしてびっくりするのが面白くて、やたらと自分とお久美さんの事を喋り散した事があった。
けれ共或時何かにつれて、人を驚かす材料に自分の一番大切な人を使って居たと云う事が非常に下等な恥かしい事に思えたので暗闇に座って此上なく改まった気持で、
「お久美さん御免なさい。
と云った時以来人にきかれた時以外にお久美さんのおの字も口から出さなかった。
そしてだまって居れば居る程自分に対するお久美さんが高まり尊く成りまさって行く様に思って居た。