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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页
「皆私が及ばないからなんですよ。
こんな小娘にまで踏みつけられるかと思うと、
この年をして生きて居る甲斐がなくなりますよ。
ほんとに。
と泣き出した。
来た者は皆お関の気心を知って居るので、お関を叱る様なお久美さんを叱る様な至極要領を得ない事をくどくどと繰返して到々仲なおりをさせてしまった。
その騒ぎの最中二階では浮腰になって居る清川をまあまあと云って山田の主人が独りで機嫌よく酔って居た。
十
※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は翌日其の事を人伝に聞いた。
其の場の様子等を種々想像しながらお久美さんの身に恙がなかった事を喜んだけれ共、自分が風邪を引いて床に居たので会う事も出来ずに四五日を送った。
村の者は、口先でこそ会えばお関に、
「飛んでもない事でした。
位は義理から云ったけれ共、心の中では十人が十人、日頃からのお関や主人に対する鬱憤を晴して呉れた事を快く思って居た。
其の夜若者共に加えた無礼な仕打ち等が段々知れて来ると、益々山田夫婦には面白く無い噂ばかり耳に入る様に成ったので、急に思い立ってお関は兼てから主人に話してある養子の話を進行させて迎えにY市へ行く事を云い出した。