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おひめさまとこじきのおんな

お姫さまと乞食の女

小川 未明

「童話」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,692 字 · 16 页

青空文庫

そして、この女が、乞食であることをはじめてお知りになりました。

「おまえは乞食なの?」と、お姫さまはお問いになされました。

「さようでございます。」と、汚らしいようすをした女は答えました。

お姫さまは、つくづくと女の乞食をごらんになっていましたが、小さな歎息をなされました。

「なんという、おまえの目は美しい目でしょう。」とおっしゃられました。

女の乞食は、お姫さまを見上げて、

「そんなに、わたしの目がよろしければ、あなたに、目をさしあげましょう。」と申しました。

お姫さまは、なおつくづくと女の乞食をごらんなされていたが、小さな歎息をなされて、

「まあ、なんというおまえの髪の毛は美しいのだろう。」といわれました。

女の乞食は、長い、黒い髪の毛を手でかきあげながら、

「わたしの髪の毛が、そんなによろしければ、あなたにさしあげましょう。」と申しました。

お姫さまは、前後のわきまえもなく、女の乞食に抱きつかれました。

「ああ、なんというおまえの心はやさしいのでしょう。目も髪の毛もみんなおまえのもので、だれもおまえから取ることができはしない。わたしがどうして、これをおまえからもらうことができましょう。