轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

中学生洋一正在写诗,突然被告知亲人病危。在雨天的下午,一通电话和电报让这个家庭隐藏的秘密慢慢浮出水面。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,195 字 · 51 页

青空文庫

いや、もう四時を打つ所だから、いくら遅くなったにしても、病院はとうに出ている筈だ。事によると今にも店さきへ、――

「どうです?」

洋一は陰気な想像から、父の声と一しょに解放された。見ると襖の明いた所に、心配そうな浅川の叔母が、いつか顔だけ覗かせていた。

「よっぽど苦しいようですがね、――御医者様はまだ見えませんかしら。」

賢造は口を開く前に、まずそうに刻みの煙を吐いた。

「困ったな。――もう一度電話でもかけさせましょうか?」

「そうですね、一時凌ぎさえつけて頂けりゃ、戸沢さんでも好いんですがね。」

「僕がかけて来ます。」

洋一はすぐに立ち上った。

「そうか。じゃ先生はもう御出かけになりましたでしょうかってね。番号は小石川の×××番だから、――」

賢造の言葉が終らない内に、洋一はもう茶の間から、台所の板の間へ飛び出していた。台所には襷がけの松が鰹節の鉋を鳴らしている。――その側を乱暴に通りぬけながら、いきなり店へ行こうとすると、出合い頭に向うからも、小走りに美津が走って来た。二人はまともにぶつかる所を、やっと両方へ身を躱した。

「御免下さいまし。」

結いたての髪をわせた美津は、極り悪そうにこう云ったまま、ばたばた茶の間の方へ駈けて行った。