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おこめのはなし

お米の話

北大路 魯山人

「日常美食の秘訣」1947(昭和22)年

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,456 字 · 3 页

青空文庫

料理屋がそうだから、料理人はみなそうである。料理長というものは板前といって、俎板の前に坐って刺身ばかり作っている。本当の料理人ならば、仮に自分で飯を炊かなくとも、飯がうまく炊けたかどうかということについて、相当気になるはずである。なぜなら、せっかくいい料理を作っても締めくくりに出る飯がだめだったら、すべてがぶちこわしになってしまうからである。

ところが、料理屋というものの多くは、酒飲み本位に工夫されているために、たいていの料理人は自分の受け持ちの料理さえ出してしまうと、後の飯がどうであろうと、一切お構いなしで帰ってしまう。それでは料理人としての資格はゼロに等しいといわれても、彼らは一向に頓着しない。理想がないからだ。

一般に飯炊きというと、料理人ではなく、雑用人として、一段と下った仕事として扱い、ろくな給料も出していないが、ずいぶん間違った話である。

だから、星岡茶寮時代、わたしのところへ料理人が来ると、君は飯が炊けるかと第一に聞いてみる。なかなか自信をもって、答えのできる者はいなかった。

とにかく、飯は最後のとどめを刺すものであり、下戸には大事な料理である。