轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
「改造」1937(昭和12)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,890 字 · 60 页
思ったとおり、道綱はもう返事もできない位、私の背後でやっと泣くのを堪えているらしかった。
五日ばかりで身が浄まったので、また私は御堂に上った。ずっと来ていて下すった伯母もその日お帰りになって往かれた。その車がだんだん木の陰になりながら見えなくなって往くのをじっと見送って佇んでいるうちに、逆上でもしたのだろうか、私は急に気もちが悪くなってひどく苦しいので、山籠りしていた禅師などを呼びにやって加持して貰った。夕ぐれになる頃、そんな人達が念誦しながら加持してくれているのを、ああ溜まらないと思って聞き入りながら、年少の折、よもやこんな事が自分の身に起ろうなどとは夢にも思わなかったので、そうなったならどんなだろうなどと半ば恐いもの見たさに丁度このような場合を想像に描いて見たことがあったが、いまその時の想像に描いたすべての事が一つも違わずに身に覚えられて来るようなので、何だか物の怪でも憑いて、それが自分にこんな思いをさせているのではないかとさえ私は思わずにいられない位だった。
それほど、まるで何かに憑かれでもしたかのように、私が苦しみながら山に籠っているのを、京では人々が思い思いにああも言いこうも言っているようだし、のみならず、この頃では自分が尼になったというような噂までし出して居るらしかったけれど、私は何を言われよ