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かたいおおきなて

かたい大きな手

小川 未明

「銀河」1948(昭和23)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页

青空文庫

」と、聞きました。

「それは、こっちがいいさ。半日汽車に乗れば、こうも気候が、ちがうものかとおどろくよ。」

「そんなら、おじいさん、こっちへ越していらっしゃい。」

「もうちっと、年でも若ければ。」

「お年よりですから、なおのこと、そうしてくださればいいんですが。」と、おかあさんがいいました。

「ねえ、おじいさん、そうなさいよ。」と、勇吉は、おじいさんのからだにすがりつきました。

「まあ、よく考えてみてから。」と、おじいさんは、しわのよった、大きな手で、勇吉のいがぐり頭を、くるくるとなでられました。

「おじいさん、お湯へいらっしゃいませんか。勇ちゃん、おともをなさい。」と、このとき、おかあさんが、台所から、出てきて、いいました。

こう聞くと、おじいさんも、その気になられたのでしょう。

「そうしようか、どれ、はおりを出しておくれ。」

立ちあがって、みなりをなおしました。

「おはおりなんか、きていらっしゃらないほうがいいですよ。」

「晩がたになると、冷えはしないか。」

「そうですか。」

やがて、おじいさんと、勇吉の二人は、家を出ました。おじいさんは、はおりをきて、白たびをはかれました。