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からすのうたうたい
からすの唄うたい
小川 未明
「時事新報」1925(大正14)年5月7日~19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,709 字 · 12 页
」といいました。
おじいさんは、どうしたらいいだろうかと思いました。
あの田舎をいっしょに出てきて、今日まで自分といっしょに暮らし、自分のためになってくれたからすを売るというようなことはしのびないことであったからです。けれど、こうして旅で病気になってしまっては、どうすることもできませんでした。その鳥を好きな金持ちがからすを大事にしてかわいがってくれたら、からすも自分とこうしているよりはしあわせであろうかと考えました。おじいさんは、外へ働きに出ることができなかったから、からすにうまいものを買って食べさせることもできなかったのです。
おじいさんは、困った末に、とうとうからすに悲しい別れを告げて、それを宿屋の主人から、金持ちに売ってもらうことにいたしました。
「さあ、これがお別れだ……。しかし、またどんな不思議な縁で、この世であわないともかぎらない。達者でいてくれよ。」と、おじいさんはからすに向かっていいました。
からすは、宿屋の主人の手から金持ちへ売られました。金持ちというのはある工場の持ち主でした。家にはおうむやいんこなどが、きれいなかごの中にいれて飼われていました。