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これからけっこんするひとのこころもち

これから結婚する人の心持

宮本 百合子

「新女苑」1939(昭和14)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,834 字 · 12 页

青空文庫

という祝福の形をとった。女で、職業や仕事をもっている人のとき、私たちは、どうせ楽なのではないから、とこの現実の裡で家庭と仕事を両立させて行こうとする女の困難さをあからさまに見た上で、大変だろうがという反面に、でもね、と認めるものがあったのである。

結婚の幸福というものが五彩の雲につつまれて描かれているロマンティック時代は、時代として過ぎていると思う。反対に、或る種の若い女のひとは結婚の現実性を実利性ととりちがえ、その実利性をも一番低級な物質の面に根拠をおき、結婚は事務と云い、商取引というように云うが、今流行の比喩で云えば、平和産業であるにちがいないそういう商取引が、果して、今日の現実で安固な土台に立っていると云えるだろうか。

結婚生活の一番地味なつつましい共通性であった落着きの感じが、結婚しているものにも、これから結婚しようとしている人々の心持にも失われ、動揺されて来ている。これは、今日の感情として、世界的なものであると思われる。早婚が奨励されていること、子供もたくさん生むようにとすすめられていること、結婚して暮すべき新天地というものが満州や支那へまでひろがって考えにのぼって来ること。