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しかしむかしにはかえらない
しかし昔にはかえらない
宮本 百合子
「新日本文学」1950(昭和25)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,077 字 · 14 页
「昔にかえった」火野葦平の社会的よろこびの感情の底は深いものであって、この「文芸放談」第三回は、その点でつよく感じさせるところがあった。火野葦平が同人雑誌の活溌化にふれて語っている自身の、陰忍自重四年の間待った甲斐あるこんにちのよろこびは、いかにも意味がふかい。首相は朝鮮での事件を、「天佑である」とよろこんでいる。そのこころに通じるものがあるようで、火野葦平、林房雄、今日出海、上田広、岩田豊雄など今回戦争協力による追放から解除された諸氏に共通な感懐でもあろうか。
東京新聞にのった火野の文章のどこの行をさがしても、「昔にかえった」出版界の事情「老舗がのこっている」こんにちの状況に、最近三年の間強行されつづけて来た言論圧迫の影響と結果を見ようとされていない。ゆうべ(八月一日)NHKの街頭録音は、「政党は選挙公約の実現に努力したか」という題目であった。「はい、そこにいらっしゃるお若い方」と指されて答えた人は自由党支持者であったが、意見として、自由党は少し言論の圧迫をしすぎると思います、と答えた。自由党の支持者で、同じ意見をのべた人がもう一人あった。常識にうつっているこの現実は、作家たる火野葦平によって、おのれとともに「昔にかえった」