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そのひとのよねんかん
その人の四年間
宮本 百合子
婦人民主クラブの生い立ちと櫛田ふきさん
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,577 字 · 11 页
もし万一その婚約の人が生きてかえることができなかったら。――ある日、その人の戦死が知らされたら。――櫛田さんは何として娘さんを支えるだろう。櫛田さんの母としての心、娘さんの心もち、どちらも、その期待、その不安によってわたしの実感にしみとおるものだった。その辛さにかかわらず若い娘さんのその心を共に生きて、守ってやっている母としての櫛田さんにわたしは、母というあたたかさにふさわしい、いいものがあることを強く印象づけられた。
一九四六年の一月にどちらかといえば偶然な動機から、婦人民主クラブが誕生して、クラブの実際的な活動の中心になれる人をみんなでさがしたとき、わたしとして櫛田ふきさんをおもいうかべたのは、ゆきあたりばったりではなかった。クラブのような仕事は、本当に人々の話相手になれるだけの婦人として人生の経験をゆたかにもった人が中心にいなければならないし、同時に常にわかわかしくて、人間の希望的な情熱を失わない人でなければならない。日本は半封建の社会で婦人の活動場面が非常に狭いから、婦人団体といえばその狭いなかで、互にぶつかりあったり、そのぶつかりを既成勢力に利用されて結局、婦人ボスのあらそいとなったりしてきた。