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それにいつわりがないならば
それに偽りがないならば
宮本 百合子
憲法の規定により国民の名において裁判する――鈴木裁判長
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,794 字 · 33 页
十一月四日の公判廷に鍛冶、丁野、栗林の三弁護士を選任して出廷した竹内被告は、三ヵ月ぶりに職場仲間の顔を見、その一人一人が立って、口々に検事の不当な取調べぶりを詳述して公訴取下げを要求するのをきいたとき、自身のうけた取調べにつき、自身のおかれた立場につき、何かの感想をもたずにはいられなかったろう。
読売新聞は十一月十五日、ほとんど三面全部をつかって、「無人電車暴走の全貌」「自供、あやまてりわが労働運動、人間竹内の上申書」「横谷にそそのかされ二人で運転台へ」といういわゆる上申書の内容を公表した。
「私は実は十一月四日の第一回公判廷において、自分がどの線でゆくのが真実なのか、非常に悩みました。自分が無罪なのか。単独か、共同かという三つのどれもが記憶において錯綜していたからです。」
読者に奇異の感を与えるそのような冒頭の文句ではじまる、長文の上申書の終りは、かつての転向上申書の書式を思わせ、共産党への罵倒と「いかなる罰も天命であって人智のなすべからざるところと。そして後、新たなる魂をもって邦家のために生き抜こうと決心しています。未だに過去の労働運動(特に国鉄)をもって喋々するものがあるならば、それらは徒に事を構えて能事終れりとなす階級であって、かようなことはいわゆる革命家に任せておけばよいと考える。